痔について知る 痔ろう(あな痔)とは?
 
				
									痔ろう(痔瘻)とは、肛門の内側と外側をつなぐ「トンネル状の通り道(ろう管)」ができてしまう病気です。
									肛門の奥にある「肛門腺」と呼ばれる部分に細菌が感染し、炎症とともに膿がたまり、その膿が皮膚へと破れて出ることでトンネルが残り、それが痔ろうとなります。
								
この通り道は一度できてしまうと自然には塞がらず、膿の出入りや感染を繰り返します。

文豪・夏目漱石も痔ろうに悩んだ!?
									実は、明治の文豪・夏目漱石も痔ろうに悩まされた一人です。
									晩年の作品『明暗』では、主人公の津田が痔ろうの治療で入院する場面が描かれています。
									漱石自身が手術を受けた経験が元になっており、当時の不安や葛藤を反映した描写が随所に見られます。
									「痔ろうは誰にでも起こりうる病気」であることを、時代を超えて私たちに教えてくれる逸話です。
								
よくある症状

- 肛門のまわりが腫れてズキズキ痛む
- 熱や寒気、倦怠感がある
- 肛門の近くの皮膚に「小さな穴」ができて、膿や血が出てくる
- 膿がたまって破れて出る…を繰り返す
- 排便時に違和感や痛みがある
痔ろうの原因とは?
最も多い原因は、肛門腺に細菌が感染して膿がたまる「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」です。
膿瘍が破れて排膿したあと、ろう管が残ってしまうことで痔ろうになります。
そのほか、以下のような生活習慣や病気も関係しています。
- 下痢や軟便のくり返し
- 長時間の座り仕事(運転・デスクワーク)
- 糖尿病やクローン病などの慢性疾患
- 免疫力の低下や体調不良

検査について
柴田病院では、視診・触診・肛門鏡検査・超音波などを使って、ろう管の位置や深さを正確に把握します。
治療方法(手術)
								痔ろうは薬だけでは治らず、手術による根治が必要です。
								入院期間は5日〜10日程度です。柴田病院では痛みに配慮した麻酔と、術後のケアまで万全の体制でサポートしています。
							
痔ろう切開開放術
ろう管を開き、通り道を取り除いて自然治癒を促す方法
 
								括約筋温存手術
排便に重要な筋肉(括約筋)をできる限り傷つけずに治す手術です。
 
								シートン法
ゴム紐などでゆっくりと締めてろう管をふさぐ方法。括約筋を傷つけにくいというメリットがあります
 
								よくある質問(Q&A)
- 薬だけで治せませんか?
- 痔ろうは、肛門の中にできた「トンネル(ろう管)」が原因の病気です。薬ではこのトンネルはふさがらないため、手術で取り除く必要があります。
- 手術は痛いですか?
- 手術中は麻酔を使用するため、痛みは感じません。術後も痛み止めでしっかりコントロールしますので、安心して手術を受けていただけます。
- 手術後はどれくらいで回復しますか?
- 入院期間はおおよそ5~10日間です。退院後も普段の生活に少しずつ戻れるよう、排便指導や生活アドバイスを行います。
- 恥ずかしくて受診しづらいのですが…
- そのお気持ちは当然です。柴田病院ではプライバシーに最大限配慮しておりますので、どうぞご安心ください。
- どんな手術方法がありますか?
- 状態に応じて、「痔ろう切開開放術」や「シートン法(括約筋温存手術)」などがあります。肛門の締まりに関わる筋肉をできるだけ温存する術式を選択しています。
- 放っておくとどうなりますか?
- 一見よくなったように見えても、ろう管が残っている限り膿が繰り返し出てきます。放置すると、ろう管が複雑になり、手術が難しくなるケースもあります。
早期受診のすすめ
「膿が出たら治ったと思った」「痛みがなくなったから大丈夫」そう思って放置すると、ろう管が複雑化し、治療も難しくなってしまうことがあります。
柴田病院では、6,500件以上の肛門外科手術の実績をもとに、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を行っています。
